アナログ技術者のリッチな世界観

アナログはデジタルの様な0/1の二元論ではなく、連続で境界線が曖昧な世界です。
ハマチとブリの違いみたいなもので、はっきりした境界線はありません。
「そんなんじゃ何がなんだか分からないじゃないか」とサジをなげてはいけません。

閾値とは恣意的に決まっている境界線ですから、目的に合わせてある意味 自由に設定可能です。私もしくは誰かが「こう定義しています」となるわけです。

いつも教科書通りにいくとは限りません、むしろ教科書が間違っているのでは?と批判的に見る必要があります。
そして目的を解決する手段も1つではありませんし、「なに」を「どのくらい」だったりします。
自分の能力を明確に把握しているから「できる・できない」がはっきりしていて、それに従って淡々と判断するのがプロフェッショナルですね。

たとえば、セオリーでは電源ピンに1本毎に0.1uFのパスコン1つですけれども、本当にパスコンが必要な端子とそうでない端子があり、容量値も0.1uFで良いのか・悪いのか本当は判断が必要ですよね。詳細検討して得られるメリットがほとんどないと判断すれば一律0.1uFにしてしまいますけれども、その判断をせずに盲目的にセオリーを適応するのは結果は同じでも、ちょっと深みが違いますよね。

そういう意味で
アプリケーションノートの定数やデータシートのスペックをそのまま設計に使うのはまずいです。
スペックは「ある条件」での代表的な値でしかありませんから、「ある条件」と自分の設計している製品の仕様が合致しているかを確認してからでないと適用できません。
逆に「ある条件」から外れていれば、どのくらいスペックを修正すればいいかを見極める必要があります。

仕様書やデータシートを読むときは、その記載内容の蓋然性を確認しながら読まないと、その資料を書いた人の思い込みや認識違いを見逃してしまいます。

ある意味、(過剰な保護回路などを搭載した)完璧な回路を作るのは簡単です。
でも技術者に求められているのはコスト意識を持って、いかに「過剰で余分な部分をそぎ落としていくか」ではないでしょうか。

なーんてね。ちょっと受け売りはいってますけど。

Parents
  • チョコです。
    0.1uFですか,大きすぎるように思われます。どちらかと言うと,1桁小さい0.01uFを主に使っていましたね。
    それもF/Fや電流の大きなICだけでしたが。なにしろ,部品が搭載できないので,最低限しかつけないようにしてました。
    そういえば,ダイナミックRAMでは,リフレッシュ時に必要な電流量から,電源電圧の落ち込みを規格内に抑えるための容量の求め方なんてアプリケーション・ノートがありましたね。
  • チョコさん
    ちょっと古い書籍では0.01uFが使われていた気がします。何時の頃からか0.1uFがスタンダードになっていますよね。(私の世代では0.1uFになってました)
    0.1uFの方が構造的にインダクタ成分が大きいので、高周波でちょっと不利ですけど、実際それがロジックICなどの動作に有意な影響は与えないので容量値的に大は小を兼ねるという方向なんでしょうね。

    UMなど最初にTypical回路を提示してあって、(アプリケーションノートなどで)それぞれの定数などの設計情報(計算式)が掲載されていると親切ですよね。メーカーはユーザー対応が煩雑になりますけれども、細かな調整をしたいユーザーに向けて情報発信してくれると嬉しいです。そんなの大変というユーザーには最大公約数的なTypical回路で構いませんし。

  • Kirinさん
    0.1uFで100pFの性能の高周波特性を目指すのは無理なんですかね、でも最近電解コンデンサーに代わり積層セラミック220uFなんていうのもあり、時々使用しますが、極性も無いしとても便利です、でも少し高価になるので。
  • チョコです。
    古い話ですが,私は,学生時代にOPアンプ(709)から入ったので,パスコンは当たり前でした。デジタルから入った時代の人が,パスコンを全く付けていない例をよく見ました。ここらが,古い書籍に書かれていた理由かもしれませんね。
    私も,秋葉原のビットインで,(半田付け不良で)動作しなかったTK-80を動作させるサポートをやっていたとき,某有名大学の学生さんが,割り込みコントローラ(8214)の回路を作ったが動作しないと,相談に来たことがありました。そのボードにはパスコンが全くなく,データシートの回路図になかったからパスコンは付けていないとのことでした。一応,回路を確認し,パスコンを付けるように指導(指示)したところ,ちゃんと動作するようになったと報告がありました。
    また,ファンアウトが20~30程度のバスバッファでは,0.01uF程度では,ALL 0からALL 1,またはその逆の変化で,電源ラインが安定せず,バスラインが発振してしまうと言ったこともよくありました。
    一方,ICの評価では,テストボードには実際の使用環境とかけ離れた,1uFのやたらと大きなパスコンを使っていたりと,いろいろでした。
  • チョコさん
    「TK-80を動作させるサポート」されていたんですか、もしかすると、どこかでお世話になっていたのかもしれません、「パスコン」は大事ですよねー、電源ラインの安定化ですから、どんな電源でもONになったりOFFになったりデジタルの回路では電源変動がパルスで駆動されますから、それを高速で打ち消さないと、ロジックが成り立たなくなるので、アナログでもデジタルでも費用の許す限り、万々張り込んでいたら、それを見た上役さんがお前のボードはコンデンサーが多いので醜いし見た目も悪いので、少なくしてチップコンデンサーではできないのか、と言われたことがありました。
  • チョコさん

    ビットイン見つけました!

    https://www.ssplusone.com/%E3%83%9E%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%94%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%BF/tk-80%E3%81%AE%E6%83%B3%E3%81%84%E5%87%BA/nec-bit-inn/

    1976年開設ですか、、、私の生まれる前からお仕事されていたんですねー。

    そういえば、74HCとかLSとか、PDF化されていないような古いロジックICのデータシートにはパスコンの話とか配線レイアウトが事細かに書かれてますね。LSは内部回路も書いてありますし。
    HCから入ったのでファンナウトとかあまりちゃんと設計しなくてもそれなりに動いてしまってましたね。レビューチェックシートにはファンインファンナウトの計算という項目がありましたけれども。

  • チョコです。
    IKUZOさん,
    >TK-80を動作させるサポート
    体制が整うまでは,交代で,駆り出されていましたよ。

    >お前のボードはコンデンサーが多い
    似たような例を何度も見ましたね。
    中には,バイパスコンデンサでデータを保持しているのかとか言われていた人もいましたよ。
    とにかく殆ど付いてないか,やたらと付けまくるかの両極端の人が結構いましたね。
  • チョコです。
    Kirinさん,そうなんです。日本のマイコンの黎明期から40年以上,マイコンをやっていました。当時はまだアナログの技術者の方が多かったんですが。いつの間にか,1つの信号を大切にするアナログの時代から,ビットの規模でこなしていくデジタルの時代(さらにソフトの時代)に変わっていきましたね。
    >74HCとかLSとか、
    最初は74xx(実はNECは200番台でした)で,結構発熱があり(ICを触って,壊れていないかとか出力がショートしてないかとか判断することも),その分電源は大変でした。

    >レビューチェックシートにはファンインファンナウトの計算という項目が
    中には,ファンインが1でないTTLもあって,結構計算は面倒でした。
    途中からLSに切り替わり,スピードはほぼ同じで,電流は小さくなり,設計は楽になりましたね。そのころには,積層セラコンが普及し始め,容量が大きくなりましたね(やっと,最初の容量の話に繋がった)。
  • チョコさん
    さすが超・大ベテランですね。黎明期のICから最新マイコンまで、幅広くやられていて。

    なるほど、当時は0.1uFは貴重だったんですね。
    しかも片面とか両面基板が主流でパスコンがないと電源インピーダンスが高くなり勝ちだったので、パスコン設計が大切だったのかもしれませんね。
    今でもデバッグ時は五感で、見て触って嗅い聞いて感じることが大切ですね。特にレジストの焼けた臭いは強烈ですし^^;
  • IKUZOさん
    無線まわりだと100pFが効いてきますけど、ふつうに配線しちゃうと配線インダクタのせいで極端な話0.1+0.01+0.001=0.111とかってなったりするので、容量違いを複数個配置してもそれほど効果は出てこないようです。

    220uFのチップセラコンはコストが高すぎて、耐圧も低いのでなかなか難しいですね。

  • チョコです。
    CPUが殆どだったので,さすがに,片面ではバスが引きまわせないので,両面が殆どでしたね。
    MCUはバスを引き回す必要がないので,片面でも何とかなりましたが。
    メモリ部(DRAM)ではバスバーを使ったこともありましたが。
Reply
  • チョコです。
    CPUが殆どだったので,さすがに,片面ではバスが引きまわせないので,両面が殆どでしたね。
    MCUはバスを引き回す必要がないので,片面でも何とかなりましたが。
    メモリ部(DRAM)ではバスバーを使ったこともありましたが。
Children
No Data