CS+のコード生成ツールが生成するポインタ変数でvolatile修飾子の記述位置がおかしいものがあるように思います

藤田様の別スレッドに便乗なのですが、CS+のRL78のコード生成ツールが生成するuart通信機能のポインタ変数でvolatile修飾子の記述位置がおかしいものがあるように思います。具体的な変数名で言うと、gp_uart0_tx_addressとgp_uart0_rx_addressです。(CS+ for CC V5.00.00のコード生成機能で確認しました。)

コード生成ツールが生成した変数宣言は以下の通りです。

volatile uint8_t * gp_uart0_tx_address;         /* uart0 send buffer address */

volatile uint8_t * gp_uart0_rx_address;         /* uart0 receive buffer address */

ところが、以下の画面コピーの赤枠の箇所の通り、割り込みルーチン内で変更されるのはgp_uart0_tx_addressやgp_uart0_rx_addressの変数自身ですので以下の変数宣言が正しい気がします。

uint8_t * volatile gp_uart0_tx_address;         /* uart0 send buffer address */

uint8_t * volatile gp_uart0_rx_address;         /* uart0 receive buffer address */

試しに型修飾子の作用の仕方がvolatileと同様なconst(型修飾子の作用自体(機能)としては対義語的になる)で試してみると、変数自身に作用したのは以下の画面コピーのように橙枠の方でしたので、volatileも変数自身に作用させる場合には同様である筈です。

  • > NULLをどう使うかはプログラマーしだいだと思います。printfだと0x00の前まで送ると言う仕様だから、それに従うしか無い。

    > しかし自分で作った関数で、文字列の先頭アドレスと転送バイト数を指定すれば0x00の所で止める必要も無いわけです。

    NULL と '\0' を混同されているのでは?

    > 言いたいことは、「NULLだったらエラーにしなくてはならず、NULLを使ってはいけません」と言う規則がある訳でも無いだろうと言う事です。

    NULL が何のオブジェクトも指さないことは『プログラミング言語 C』の初版から書かれていることで、世に数多ある C コンパイラも ISO/IEC 9899:1999 等の標準規格を前提として作成されているので、それ以外の使い方をされたいのであれば自己責任ということになります。

    例えば NULL ポインタアクセスの検出をしたいとして

    void hoge(void)
    {
        *(uint32_t*)NULL = 0xDEADBEEF;
    }
    

    のようなコードを書いたとして、プログラマが期待した動作をするかは不明です。Cygwin64 上の gcc で試したところ

    $ cat -n hoge.c
         1  #include <stdint.h>
         2  #include <stddef.h>
         3
         4  void hoge(void)
         5  {
         6      *(uint32_t*)NULL = 0xdeadbeef;
         7  }
    
    $ gcc -v
    Using built-in specs.
    COLLECT_GCC=gcc
    COLLECT_LTO_WRAPPER=/usr/lib/gcc/x86_64-pc-cygwin/5.4.0/lto-wrapper.exe
    Target: x86_64-pc-cygwin
    Configured with: /cygdrive/i/szsz/tmpp/gcc/gcc-5.4.0-1.x86_64/src/gcc-5.4.0/configure --srcdir=/cygdrive/i/szsz/tmpp/gcc/gcc-5.4.0-1.x86_64/src/gcc-5.4.0 --prefix=/usr --exec-prefix=/usr --localstatedir=/var --sysconfdir=/etc --docdir=/usr/share/doc/gcc --htmldir=/usr/share/doc/gcc/html -C --build=x86_64-pc-cygwin --host=x86_64-pc-cygwin --target=x86_64-pc-cygwin --without-libiconv-prefix --without-libintl-prefix --libexecdir=/usr/lib --enable-shared --enable-shared-libgcc --enable-static --enable-version-specific-runtime-libs --enable-bootstrap --enable-__cxa_atexit --with-dwarf2 --with-tune=generic --enable-languages=ada,c,c++,fortran,lto,objc,obj-c++ --enable-graphite --enable-threads=posix --enable-libatomic --enable-libcilkrts --enable-libgomp --enable-libitm --enable-libquadmath --enable-libquadmath-support --enable-libssp --enable-libada --enable-libgcj-sublibs --disable-java-awt --disable-symvers --with-ecj-jar=/usr/share/java/ecj.jar --with-gnu-ld --with-gnu-as --with-cloog-include=/usr/include/cloog-isl --without-libiconv-prefix --without-libintl-prefix --with-system-zlib --enable-linker-build-id --with-default-libstdcxx-abi=gcc4-compatible
    Thread model: posix
    gcc version 5.4.0 (GCC)
    
    $ gcc -Wall -W -S -O2 hoge.c -o -
            .text
    hoge:
            movl    $0, 0
            ud2
    
    $
    

    不正命令例外をおこす命令を出力しました。

  • リカルドさん、こんにちは。

    リカルドさまwrote: said:
    インターネットで次の記事を見つけました。
     
    sunafukin2go.hatenablog.com/.../014148
    こういった場合にvolatile unsigned char *piAddr;をして、この最適化を抑制します。
    なお補足しておきますが、unsigned char * volatile piAddr; とするとアドレスが最適化されないという意味になります。
    基本的にはアドレスの指す先が最適化されないというのが一般的ではないかと思います。 [引用終]

    この人が「最適化はコンパイラが独自に行いますのでこれ(注:実際の最適化具体例)が確実に行われるかは判りません」と繰り返し書かれていますが、今回の元々の話のように割り込みルーチン内でポインタ変数(例えばこの人のpiAddr)を変更するという場合でも、最適化能力の低いコンパイラ、あるいはそもそも処理内容によっては、volatile unsigned char *piAddr;と書いてもトラブルを起こさなくなることがあると思います。極端な話、volatileを付けなくてもトラブルを起こさない場合もありますし。
    でも、組み込みに不慣れな人が書いたソースで割り込みルーチン内で変更される変数にvolatileが付いてなければ付けるように話をされると思いますし、もしその人が付けても付けなくてもコンパイラの生成コードが変わらないことに気付いて反論してきても、機能追加でソースを変更したら、あるいはコンパイラのバージョンが上がったら、もしくは他のマイコンの他のコンパイラでコンパイルすることになったら、トラブルを起こすかも知れないので付けるようにと、話をされると思います。
    volatileを付ける位置のこと考える時に、この例え話のシチュエーションも考えてみると、話のポイントがくっきりして来ないでしょうか?

  • NoMaY さんの初めの書き込みで、指摘している問題点がよく分からなかった。
    volatile を行頭に付けておけばその変数に関する最適化を抑制すると思っていました。
    しかし今回の議論で、ポインタが絡むと volatile の位置によって意味が変ると言うのが分かりました。
    インターネットで volatile を調べてもポインタが絡んだときの事が書いて無いから、ハナタカに入る例じゃないかな。
    だから、コード生成ツールを作った人も気付かなかったのでしょう。
    これが原因でコンパイル結果が意図したように行われなかったら、原因究明に苦労するでしょう。
    ひとつ勉強になりました。
  • "volatile ポインタ"で検索すると、いろいろと出てきますよ。
  • Higetaka さん、有難う。

    >"volatile ポインタ"で検索すると、いろいろと出てきますよ。

    ああ、そうか。そのキーワードにすればいいんですね。簡単な事だけど、思い付かなかった。
    調べると、volatile の位置の違いで引っ掛かった人が他にもいましたね。
  • >解説をすると、

    fujita nozomu さん、丁寧な解説有難う御座いました。
    良く分かりました。
  • >例えば NULL ポインタアクセスの検出をしたいとして
    >void hoge(void) {*(uint32_t*)NULL = 0xDEADBEEF;}
    >のようなコードを書いたとして、プログラマが期待した動作をするかは不明です。
    >Cygwin64 上の gcc で試したところ・・・不正命令例外をおこす命令を出力しました。

     これってNULLポインタの所に書き込みだからまずいんじゃないかな。読み出しならば問題無いと思います。
     
     皆さんの書き込みを見て、私の次の書き込みの答えがモヤっと分かったような気がします。

    2017/3/31 1:55
    .L3:              while (hogehoge)に相当
    jmp .L3       hogehoge がゼロでない事を何処で判断したの?
    .text

     NoMaY さん紹介の qiita.com/AoiMoe/items/2554f78dc9c197d22109 も参考にしました。
     「NULL が何のオブジェクトも指さない」と言われても、ゼロ番地からメモリーダンプするのに困るじゃないか。
     NULLポインタを使ってアクセスしたらエラーだよなんて、コンパイラが勝手に判断したら困るだろうと思いました。
     私が使っているのは、組み込みマイコンです。
     fujita nozomu さんのコンパイラはパソコンのプログラム開発のCコンパイラでしょう。
     そのためユーザはNULLポインタの所をアクセスしないと言う前提の元にコンパイルし、前述のコンパイル結果になったのかなと思っています。
  • > これってNULLポインタの所に書き込みだからまずいんじゃないかな。読み出しならば問題無いと思います。

    試してましたが

    $ cat -n hoge.c
         1  #include <stddef.h>
         2
         3  char readNullPtr(void)
         4  {
         5      return *(const char*)NULL;
         6  }
    
    $ gcc -Wall -W -S -O2 hoge.c -o -
            .text
    readNullPtr:
            movzbl  0, %eax
            ud2
    
    $
    

    読み出しでも不正命令例外をおこす命令を出力しますね。

    > fujita nozomu さんのコンパイラはパソコンのプログラム開発のCコンパイラでしょう。

    > そのためユーザはNULLポインタの所をアクセスしないと言う前提の元にコンパイルし、前述のコンパイル結果になったのかなと思っています。

    パソコンのプログラム開発用と限ったものではなく、出力するアーキテクチャは x86 と x64 に対応しており、例えば MMU を持たない80376をターゲットとして Windows や Linux の様な OS を使わない組み込み用途にも使えるものです。

    > 「NULL が何のオブジェクトも指さない」と言われても、ゼロ番地からメモリーダンプするのに困るじゃないか。
    > NULLポインタを使ってアクセスしたらエラーだよなんて、コンパイラが勝手に判断したら困るだろうと思いました。

    C の言語仕様として NULL は何のオブジェクトも指さないことは決められているので、安全確実にそれを行える方法はありません。

  • > NoMaY さん紹介の qiita.com/AoiMoe/items/2554f78dc9c197d22109 も参考にしました。

    記事にある `-fno-delete-null-pointer-checks' のコンパイル指示を gcc に与えると

    $ cat -n hoge.c
         1  #include <stddef.h>
         2  #include <stdint.h>
         3
         4  void writeNullPtr(void)
         5  {
         6      *(uint32_t*)NULL = 0xDEADBEEF;
         7  }
         8
         9  char readNullPtr(void)
        10  {
        11      return *(const char*)NULL;
        12  }
        13
        14  void hoge(void)
        15  {
        16      extern volatile int* hogehoge;
        17      while (*hogehoge) {
        18          ;
        19      }
        20      while (hogehoge) {
        21          ;
        22      }
        23  }
    
    $ gcc -Wall -W -S -O2 hoge.c -o -
            .text
    writeNullPtr:
            movl    $0, 0
            ud2
    
            .text
    readNullPtr:
            movzbl  0, %eax
            ud2
    
            .text
    hoge:
            movq    .refptr.hogehoge(%rip), %rax
            movq    (%rax), %rdx
    .L4:
            movl    (%rdx), %eax
            testl   %eax, %eax
            jne     .L4
    .L5:
            jmp     .L5
    
    $ gcc -Wall -W -S -O2 -fno-delete-null-pointer-checks hoge.c -o -
            .text
    writeNullPtr:
            movl    $-559038737, 0
            ret
    
            .text
    readNullPtr:
            movzbl  0, %eax
            ret
    
            .text
    hoge:
            movq    .refptr.hogehoge(%rip), %rax
            movq    (%rax), %rdx
    .L4:
            movl    (%rdx), %eax
            testl   %eax, %eax
            jne     .L4
            testq   %rdx, %rdx
            je      .L3
    .L8:
            jmp     .L8
    .L3:
            rep ret
    
    $
    

    NULL ポインタ先への読み書きはそれを行うコードが出力され、一度アクセスしたポインタの NULL チェックを省く最適化も行われなくなるようです。

    この辺りの話は使用するコンパイラに依存するものであり、C の言語仕様に反する NULL ポインタアクセスを安全に行う方法がどの処理系にも等しく提供されている、というものではありません。

    > 「NULL が何のオブジェクトも指さない」と言われても、ゼロ番地からメモリーダンプするのに困るじゃないか。

    ゼロ番地からメモリーダンプできて当たり前、と考えるのは間違いです。

  • fujita nozomu さん、実験有難う御座います。
     
     NULL は 「char, for, do」等の予約語と違い、STDDEF.H の中に次のように書かれてますね。
     
    #define NULL  ((void *)0)
     
     標準関数の中に「エラーの時は NULL を返す」とか言うのが有って、そこで「#define NULL ((void *)0)」を使う訳ですね。
     だから組み込みマイコンで標準関数を使わなければ STDDEF.H をインストールする必要も無い。
     「#define NULL  ((void *)0)」が無ければコンパイラは「NULLって何?」となって、ゼロ番地をアクセス禁止にする理由が無いと思います。
     
      5  return *(const char*)NULL;

     じゃ無くて

      5  return *(const char*)((void *)0);

     ならどうでしょう。