過度熱抵抗について

こんにちは。

首題の件でご質問があります。

技術資料等でを確認すると、パルスの場合は定常熱抵抗ではなく、過渡熱抵抗を使用する。という記載があります。

http://documentation.renesas.com/doc/products/transistor/apn/rjj05g0003_power_mos.pdf

 

スイッチング電源は電流はパルス系になるので(共振型でなければ)、本来過渡熱抵抗を使わなければいけないはずですよね?

そうすると各社メーカさんの資料に定常熱抵抗と同じように過渡熱抵抗は当たり前のように記載していなければならないはずですが、

ほとんどデータシートには定常熱抵抗しかありません。なぜなのでしょうか?それとも私が何か勘違いをしているのでしょうか?

私恥ずかしながら、今までパルス状の電流でも定常熱抵抗ですましておりました。

どなたかご教授ください。どうぞよろしくお願いいたします。

Parents
  •  FETの専門家では有りませんが、JAZZYさんの言うデータシートを大雑把に見ました。

     過渡熱抵抗は、ピーク電力及びそれに関連したピーク電流を求める為に使うのではないでしょうか。

     LEDをダイナミック点灯するとき、どれだけピーク電流を流せるのか求めるのと同じだと思います。

     図1.10の左の10uを見ると、Dとほぼ同じ。デューティ比を1/Nにすればピーク電力はN倍に出来る。

     しかしNが大きければこの原則から外れ、その限界がワンショットパルスの値。

     。デューティ比が同じであっても例えば1分ONで100分OFFなら直流定格を使わなければなりません。

     その限界が2秒と読み取れます。

     こんな解釈ではないでしょうか。

  • Jazzyさん

    リカルドさんの書き込みが分かりやすいですね。
    FETはONからOFF、OFFからONになる過渡期は、完全ON時よりも抵抗値が増えるため、パルスを与えると増えた抵抗により発熱も増えます。
    また、短い時間に高い熱量が発生するためジャンクションの放熱も不利になりやすくなるので、許容損失を超えてASO破壊の原因になります。
    ということですね。

  • チョコです。

    > なぜなのでしょうか?

    過渡熱抵抗の規定が難しいからではないでしょうか。

    DC熱抵抗にパワーのパルス デューティ分だけを単純に

    かけるのは問題はありそうですね。パルス幅が長く

    なると熱的に飽和してDC状態と同じ条件になるので、

    グラフの右側がDC熱抵抗に収束するのはうなずけます。

    デバイスの構造により、収束の仕方は異なっても、

    デューティをそのまま使えないのはわかります。

    Kirinさんが書かれているように、スイッチング時には

    抵抗値が大きくなり、電流はON時よりも小さいとはいえ、

    OFF時よりもはるかに大きくなり、結果としてFETの消費

    電力は大きくなってしまいます。

    その分、スイッチング時の熱設計には慎重になるべきだと

    思います。

  • リカルド様:ありがとうございます。Nが大きければこの原則から外れ、その限界がワンショットパルスの値。すごくわかりやすかったです。

    Kirin様:ありがとうございます。また疑問がわいたのですが、過渡期はON抵抗値が増えるのは、DC値の時よりも増えるのでしょうか?

    チョコ様:ありがとうございます。以前トラ技で見たのですが、半導体パッケージの熱容量はRCの熱時定数ととれるので、それに対してスイッチング周波数が

    速いとDuty分かけるのは問題ないみたいです。おっしゃられている通り、周波数が低く、熱容量の時定数に近いと単純な掛け算にはならない気がしますね。

    スイッチング時の熱抵抗というのはまた過度熱抵抗とは違うのでしょうか?

  • チョコです。

    > 過渡期はON抵抗値が増えるのは、DC値の時よりも増えるのでしょうか

    単に,ONからOFFへの変化(またはその逆)に時間がかかるので,ON抵抗

    の値からOFF抵抗の値に変化するだけと考えてください。

    >スイッチング時の熱抵抗というのはまた過度熱抵抗とは違うのでしょうか

    その記事はみたことないのですが,似たようなことを言っていると思われます。

    半導体の質量と比熱で熱容量(これがC相当)が求まり,内部の熱抵抗と

    合わせてRCの時定数ですか。

    熱回路(?)は,電気回路のように導体と絶縁体が明確に分かれるわけでは

    ないので,きっちりした答えを得るのは難しいですが。

Reply
  • チョコです。

    > 過渡期はON抵抗値が増えるのは、DC値の時よりも増えるのでしょうか

    単に,ONからOFFへの変化(またはその逆)に時間がかかるので,ON抵抗

    の値からOFF抵抗の値に変化するだけと考えてください。

    >スイッチング時の熱抵抗というのはまた過度熱抵抗とは違うのでしょうか

    その記事はみたことないのですが,似たようなことを言っていると思われます。

    半導体の質量と比熱で熱容量(これがC相当)が求まり,内部の熱抵抗と

    合わせてRCの時定数ですか。

    熱回路(?)は,電気回路のように導体と絶縁体が明確に分かれるわけでは

    ないので,きっちりした答えを得るのは難しいですが。

Children
  • 蛇足かもしれませんが、添付の回路図でS-D間電圧と電流をオシロで測定すると、過渡期に掛かるFETの負荷がよく分かると思います

    OFF->ONの移行の場合、S-D間電圧が少しずつ0Vに近づきながら電流が増えていく様子が分かります。

    また、波形をCSVデータで取得すると、消費電力がはっきりした数値で分かります。

    Rは適当に選んで下さい。(電流が1Aなら、0.01Ω~0.1Ω程度でしょうか)

    測定回路.pdf
  • チョコ様

    度々ご回答ありがとうございます。過渡期の抵抗の解釈、承知いたしました。

    RCの時定数、おっしゃる通りの内容で記載があったと思います。

    >半導体の質量と比熱で熱容量(これがC相当)が求まり

    上記文で大分イメージもつかむことがきました。

    あーばん様

    ご回答いただきありがとうございます。資料もいただきありがとうございます。

    オシロスコープでCSV出力すれば電力計算できそうです。